2006年07月06日

【第35回】「築地の朝めし」 たけだ

築地のネコ
 築地にはネコが多い。編集部の近くを縄張りにしてるのは三毛猫。道行く人にかわいがられて、ネコ冥利に尽きるだろう。ネコというのは、実はとんでもない人たらし。みんなにいい顔して、えさもらったり、痒いところをなでてもらったり。いつもベタベタだといけないことも知っていて、時にツンとそっぽをむいたり、わざと他人とじゃれているところを見せ付けたり。

 そんなネコだが、編集部のベランダから外を見ていると、たまにネコ同士が縄張り争いをしている。とくに、古い家が壊されて新しい「道」が生まれると、出会ってはいけないネコ2匹がケンカをはじめる。格闘技系のファイトではなく、遠くからにらみ合い、ジリジリと間合いを詰めていく。そろそろ肉弾戦か? という展開になったころには、実は勝負はついている。うちの近所を縄張りにしている三毛猫はすごすごと退散。日ごろから人たらしばかりしているだろう。

 悪い女や、小悪魔的な女のことをネコと呼んだりする。うちの近所のネコみたいに、日ごろは人たらししているが、実は裏で壮絶な格闘をしているかもしれないネ。怖い怖い。


第35回 マグロのおにく 「たけだ」
 築地場内、飲食店がならぶあたり。いかにもネコがいそうだが、以外に場内では見かけない。蹴っ飛ばされたりするからか。昼を過ぎて、店じまいしてからひょっこり顔を出すのかもしれない。今日は、「たけだ」という洋食屋にいく。さて問題。下の写真は何でしょうか?


ご飯と味噌汁がついて850円

 はい、答えは、マグロの尾肉(おにく)。ヨーロッパの人は、肉について「一番よく働く部分がうまい」という。日本では「硬い」と嫌われる部分だ。でマグロの尾肉。マグロは死ぬまで一生泳いでいる。寝ている間も泳いでいる。ヨーロッパ的に考えると、「マグロで一番よく働く尾の肉がうまい」ということになる。

 ここでは、尾肉をステーキにする。醤油ベースの和風ステーキ。一口食べてみる。かろうじて、マグロらしい食感はあるものの、あまりマグロらしい味はしない。ここまで味をつけちゃうと、どんな肉でも同じ気がする。

 市場サイズのライスとマグロ尾肉を食べ終わり、コロンとマグロの骨が残った。断面を見ると、花形の6角形。型で抜いたニンジンのような形。360度を6で割ると60度。60度は正三角形を作る。強度が高い形だ。尾はあんなけでっかいマグロの推進力なんだから、相当な力がかかるだろう。しかも軽くなくてはいけない。自然ってよくできているネ。



たけだ
住所:中央区築地5-2-1 8号館
電話:03-3543-0855
営業時間:3:00〜13:30
定休日:休市日(日曜祭日、第2・4水曜日など)

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