2025年12月04日

ACP=「人生会議」という概念

今週のゲストはやよい在宅クリニック医師の犬飼淳さんです。

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クリニックでは、「2歳から103歳までの幅広い年齢層の患者さんを診ている」と犬飼さん。「患者様のストーリー、どう生きてきたかという物語がかなり大事になってきますので、やはり対話を我々としても大事にしています。」

小黒さんが気になったのが、「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」。
ACPとは、命に関わることについて、将来のもしもに備えて、価値観や希望を家族や医療チーム、看護チームと繰り返し話し合い、今後の人生について考えていくプロセスのことです。犬飼さんは、「自分の人生を見つめるということは、医療にかかわらず非常に大事なこと。"どう生きたいか"を注視することによって、ただ医療を受けるのではなく、それをサポートとしてその人生をより輝かせていくか、どのように全うしていくか、ということをサポートできるプラン」とおっしゃっていました。

日本でのACPの普及状況については、「きっかけの少なさ」、「縁起が悪いという日本人特有の心理的ハードル」、「誰と話をすればよいのかわかりにくい」という理由から、なかなか普及していないとのこと。

最後に、在宅医療の未来について。病院で行っていた治療を在宅で行う「Hospital at Home」という概念があります。世界的に病院での治療を在宅で行う流れが広がっており、日本でも次回の保険改定で導入されることが決まっているそう。肺炎や尿路感染症などの急性疾患から導入される見込みで、今後はより多くの病院治療が自宅でできるようになるとのことです。

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2025年12月03日

世界と日本の在宅医療、現在地

今週のゲストはやよい在宅クリニック医師の犬飼淳さんです。

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犬飼さんは1986年生まれ。消化器外科医として癌治療に携わった経験から、
"最後まで闘う患者に寄り添いたい"という思いで訪問診療を始めたとのこと。

世界の在宅医療の動向については、1992年頃にイギリスで「バーチャル・ウォード」(病棟で起こっていることをご自宅で)の概念が始まり、アメリカではジョンズ・ホプキンス大学で「Hospital at Home」(在宅診療の根幹になる概念)が提唱されました。日本ではコロナ禍をきっかけに在宅診療が進展したようです。

海外の在宅サービスでは、医師と看護師が1日1〜2回訪問し、点滴や遠隔でのバイタル監視(血圧、体温、酸素飽和度など)を行っています。また、持ち込み検査やオンライン診療も実施されています。

日本の在宅医療については「まだ進んでいないのが現状」と犬飼さん。理由として、訪問診療が「最後の看取り」や「終末期」というイメージが強く、ハードルが高いそうです。一方、病院での治療レベルは世界的に高水準であり、在宅から病院への連携が重要だとおっしゃっていました。

staff| 21:00 | カテゴリー:

2025年12月01日

暮らしに寄り添う「第三の医療」とは?

今週のゲストはやよい在宅クリニック医師の犬飼淳さんです。

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犬飼先生は、日本医科大学消化器外科で癌(がん)治療に携わった後、現在はやよい在宅クリニックで訪問診療に従事し、患者さんとご家族の暮らしに寄り添う在宅医療を実践していらっしゃいます。

犬飼先生は1986年、静岡県浜松市生まれ。日本医科大学消化器外科で、
急性期の癌治療の手術・周術期管理、がん薬物療法、緩和ケアに携わったのち、
現在は、やよい在宅クリニックで訪問診療に従事し、師事する水口院長が掲げる
「過不足のない医療」の実現に向け、患者さんとご家族の暮らしに寄り添う在宅医療を実践していらっしゃいます。

犬飼先生によると、在宅診療とは入院や外来に次ぐ「第三の医療」という位置づけだそうです。
病院に行くのが大変になった方の自宅や施設へ、医師や看護師などのチームが実際に伺う医療のことで、
24時間365日体制で定期訪問や急変時の対応を行っています。
がん、認知症、脳卒中、老衰など、ほぼ全ての病気が対象となるということです。

この在宅医療を支えるのは、医師だけではありません。
訪問看護師、理学療法士、薬剤師、歯医者など、多岐にわたる専門家が連携して、患者さんの生活を包括的にサポートしています。
例えば、お口のケアや飲み込み(嚥下)のケアなども、チームで対応しているそうです。

また、在宅診療は患者さんにとっては通院の負担が減りますが、医師の負担は大きい状況です。
犬飼先生は、1日に8件から12件ほどの家庭を訪問することも...!

「でも一番つらいのは患者様なので、我々はそこになるべく寄り添いたいなと思って」

現在、在宅医療を利用しているのは全体の約3%とまだ少数派ですが、
公的医療保険も適用され、その必要性は年々高まってきているそうです。

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2025年11月27日

海外での演奏と今後の展望

今週のゲストはトランペッターの田尻大希さんです。

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田尻さんは2022年、ネパールブンガマティー区の文化友好親善大使、名誉市民に任命されました。元々は山口県での技能実習生関連の文化友好活動で「おしん」という映画の音楽を担当するために訪問したところ、現地の国民的バンドのライブに飛び入り参加して大盛り上がりとなり、翌日に市役所に呼ばれて文化友好大使に任命されました!

最近まで全国ツアーを開催していた田尻さん。47都道府県ツアーのスケジュール作成は、AIを活用しているそう!AIに最適な巡回順序を尋ね、それをマネージャーと相談しながら、既に決まっているイベントに合わせて調整し、季節や天候も考慮してスケジュールを組んでいます。特に冬の北陸や北海道などはキャンセルのリスクがあるため、気候の良い時期を選んでいるとのこと。

加えて、アフリカ豆を使用したオリジナルブレンドコーヒーを地元天草の「赤い月珈琲」と共同でつくっています。このコーヒーは「スピリット オブ アフリカ」という曲をモチーフにしており、主にケニアの豆を中心にグアテマラやブラジルの豆もブレンドされています。販売収益はアフリカへの楽器提供や活動費用に充てられるチャリティーコーヒーとなっています。

今の目標として、「47都道府県ツアー10周目の最後に武道館でワールドミュージックフェスティバルを開催したい」と田尻さん。

「トランペット業界の葉加瀬太郎さんになりたい」
今年、「葉加瀬太郎 音楽祭2025」へ出演!大きなターニングポイントとなったそうです。また、大阪万博ではブルキナファソの太鼓奏者の方と共演も...!アフリカの音楽家との共演で、太鼓に導かれて自分でも知らなかったフレーズが出てくる体験をされたとのこと。「もっと世界を回りたいという思いが強くなった」とおっしゃっていました。

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2025年11月26日

ケニアの子どもたちに音楽を届ける活動

今週のゲストはトランペッターの田尻大希さんです。

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ケニアの子どもたちにトランペットの演奏を届ける活動
「JUST ONE WORLD PROJECT」

田尻さんは、2016年の熊本地震で被災した経験から、音楽で人々を元気づける活動を始めます。第二の故郷であるケニアでの幼少期の思い出、日本の少子高齢化で使われなくなった楽器を活用したいという思いから、ケニアの子どもたちにトランペットを届け、将来的にはジュニアオーケストラの結成を目指す「JUST ONE WORLD PROJECT」を立ち上げました。

現在、約10台のトランペットをケニアに持っていき、まずはファンファーレ部隊から始めようと考えています!実際に現地で彼らにトランペットを渡した際、ケニアの子どもたちは楽器に対して非常に積極的だったそう...!

また、日本の子どもたちが10人いた場合、半分くらいの子がレクチャーで音が出るのに対し、ケニアでは20人くらいの施設の子どもたち全員が、すぐに音を出せるようになるそう。田尻さんは、ケニアの子どもたちの音楽的感覚の良さと生命力の強さ、その才能に驚いていました。しかしながら、ケニアの子どもたちは音は出せるものの、指を自分の好きなように動かすようです。そのため、音楽の基本的な順序を教えるところが大変とおっしゃっていました。

将来的には、ケニアで音楽の先生になれる人材を育成し、持続可能な音楽教育の環境づくりを目指しています。

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2025年11月25日

田尻さんが音に込める平和のメッセージ

今週のゲストはトランペッターの田尻大希さんです。

1990年熊本県生まれの田尻さんは、東京音楽大学を卒業後、オーケストラや吹奏楽の客演、CMレコーディング、さらには「桃尻大喜」名義での作曲活動など、多岐にわたる活躍をされています。国内外で年間約160本ものライブや演奏活動を行っており、多忙なときは1日に3つの現場を回ることもあるという、精力的な活動を続けているそうです。

その活動を支えるのは、地元の人たちからの熱い応援です。田尻さんは、各地を回るうちに「田尻大希後援会」なるものを立ち上げてくれる方々が様々な県に出てきたと語ります。特に、生まれ故郷である西日本方面での熱い支援はありがたいとのことです。

そんな全国ツアーの集大成として、明日26日水曜日にはサントリーホールブルーローズでファイナルコンサートが開催されます。今年のツアータイトルは『Reasons of Life』です。

月にケニアに行った時、田尻さんはこう語ります。

「スラムには自殺人する人が1人もいないって言うんですよ。でも日本はどちらかというと(自殺が)多い国だと、世界的に見られて言われてる中で、なんか彼らが資本とかじゃない価値観で生きられている中で、その大切なものって何かなって感じたときに、近くにある優しさだとか...Love and Peaceの精神。家族の中に...なんかそういうものを音楽にして日本に少し伝えたいなと思って」

このタイトルは、田尻さんが1月にケニアのスラム街を訪問し、そこで出会った家族との交流から生まれたそうです。コンサートでは、このテーマを表現するため、オーケストラとバンドを融合させた編成でお届けするということです。

staff| 21:00 | カテゴリー:

2025年11月20日

ひとりで頑張らない、チームで頑張る!

今週のゲストは株式会社Quest代表の黒田剛さんです。

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講談社で働き始めた際「自分は凡人だ」と感じたという黒田さん。編集者や著者の優秀さを目の当たりにし、その中で自分ができることは何かを考えた結果、彼らが考えたものをメディアに持っていくという役割を見出されました。

最初はPRの仕事を「お手伝いみたいな仕事」と感じており、次第に自分の居場所を見つけ、それを天職だと思うようになったそうです。「著者ができることは著者がやる、編集者ができることは編集をやる、それ以外は僕が全部やる」という役割分担の中で自分の居場所を見つけられたとのこと。

黒田さんの仕事術『非効率』を支えているのが、徹底的な一人タスクの効率化!

黒田さんは、人との時間は惜しまず多くの現場に足を運ぶ一方で、自分の仕事は全て5分以内で終わらせることを心がけています。例えばメールの返信や資料の送付などは、スマホを使って電車の中などの隙間時間で済ませるよう徹底しているとのこと。

また、野口悠紀雄さん著『「超」整理法 情報検索と発想の新システム』(中公新書)からも学びを得たそうです!

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2025年11月19日

相手の心を動かす『非効率な思考』

今週のゲストは株式会社Quest代表の黒田剛さんです。

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黒田さんは2017年に独立し、株式会社QUESTOを設立されました。

株式会社QUESTOは、書籍を専門にしたPRの会社。様々な出版社の本のPRをお手伝いする会社です。3年前からお兄さんとともに会社を運営しており、ご兄弟で一緒に仕事をされています。

本屋の息子として育った黒田さん。当初は好まなかったというその背景が、今では出版関係者との関係構築に役立っているとおっしゃっていました。

黒田さんは今年、『非効率思考』という本を出版されました。この本は読みやすさを重視し、文字の大きさや改行、イラストなどを工夫して制作されたそう。"非効率化"ついて、実は最も効率的な方法を追求している、と黒田さん。例えば、一般的なPR手法では全メディアに一斉にプレスリリースを送りますが、黒田さんは重要な人物に個別にアプローチする方法をとっています。

また、著者がメディア出演する際には必ず同行し、メディアスタッフとの関係構築を大切にしています。この方法は時間がかかりますが、その場での提案が通りやすくなるという利点が...!

AIの時代で効率化が重視される中、一見無駄に見える行動にこそ面白さや価値があります。このような考え方をまとめた著書は、いまの出版界や物を売ることに苦戦している人々への参考になることを願って制作されました。

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2025年11月18日

暗黒期を乗り越えて見つけたPRの極意

今週のゲストは株式会社Quest代表の黒田剛さんです。

黒田さんにとって、芳林堂書店外商部での新規営業マン時代は、ご自身の著書で「人生の暗黒期」だったと振り返るほどの苦難の時期だったそうです。人当たりは良かったものの、割引率やサービスで他店に劣る中で新規契約が全く取れず、行けば断られるという状況が1年間も続いたといいます。

この暗黒期を抜け出すために、黒田さんは飛び込み営業をやめ、ビジネス書を読み漁るという行動に出ました。そこで出会った『IBMがなぜ世界一の会社になったのか』という本に、現在のPRの原点となる教えを見つけたそうです。

「自分の商品を説明するんじゃなくて、まずお客さんが何に困ってるか聞きなさいと。」

この教えを実行し、契約の有無に関わらず、とにかくお客さんの「お困りごと」を聞いて回ったところ共通の悩みが浮き彫りになりました。そこで、その悩みを解決する提案をした結果、年間20〜30件もの新規契約を獲得できるようになったそうです!

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2025年11月17日

「本屋になりたくなかった」

今週のゲストは株式会社Quest代表の黒田剛さんです。

黒田さんは1975年千葉県生まれ。芳林堂書店外商部、講談社でのPR担当を経て2017年に独立し、現在は多くの出版社で書籍PRを手がけています。今年はご自身の著書『非効率思考』を出版されました!

ご実家が本屋だった黒田さん、お母様は「伝説のセールスウーマン」だったそう!美術全集や辞典など、人に強く勧めないと売れない商品を販売する名人でした。その原動力は、損得ではなく、純粋な「本への愛」だったと黒田さんは語ります。 「私は本じゃなきゃ駄目なのって言うんですよ。やっぱ本が大好きで好きだからそれを伝えたいんだっていう話はしてましたよね。」

子どもの頃から本に囲まれて育ったものの黒田さん自身は幼いころ「本屋にだけはならない」と思っていたということ。大学卒業後、一度はフラフラしていたものの、親の勧めもあり書店の研修学校へ。その後、芳林堂書店の外商部に入り、図書館や学校を相手に教科書販売や新規営業に励むことになります。本屋になりたくなかったはずの黒田さんが、書店、出版社PR、そして独立と、一貫して本に関わる道を歩んでいるのは、ご自身も気づかないうちに、本を「伝える」という情熱を継承されていたからかもしれません。

staff| 21:00 | カテゴリー:


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