2026年02月12日

『モビル文学 多摩川アンセム・フォー・マイセルフ』

今週のゲストはメディアアーティストの志村翔太さんです。

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志村さんの表現の根底には、高校時代から小説家を目指し、新人賞へ応募し続けたものの芽が出なかったという過去があります。自らの小説を多くの人に届けたいという切実な願いが、自転車型の筐体で文字の街を移動するジェフリー・ショーの作品『レジブル・シティ』への共感と結びつき、独自のスタイルへと昇華されました。

現在、東京・蒲田のギャラリー南製作所で開催中の個展『モビル文学 多摩川アンセム・フォー・マイセルフ』は、文化庁の支援を受けた入場無料のプロジェクトです。自転車とスマートフォンという身近な道具を使う志村さんの作品は、専門家だけでなく地域の高齢者にも親しみやすいシンプルさを備えています。修士研究から始まったこの活動は、現在では10篇ほどの作品群へと成長しました。

会期は2月15日(日)まで。京急蒲田駅から徒歩15分の会場には志村さんご本人が在廊し、来場者の「自転車体験」を募っています。今後は活動の場を世界へ広げ、メディアアートの聖地であるオーストリアの「Ars Electronica(アルスエレクトロニカ)」での展示を目標に、新たな街の記憶を紡ぎ続けます。

「モビル文学をやっぱりこれまで以上にいろんな国や地域で発表、制作したいですし、アルスエレクトロニカというオーストリアのメディアアートのフェスティバルで展示したいなと思っていて、制作を続けている感じです。頑張ります。」

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2026年02月10日

メディアアートとの出逢いと旅人としての顔

今週のゲストはメディアアーティストの志村翔太さんです。

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志村さんは、大学での政治学専攻、バックパッカー、旅行会社の添乗員、そしてプログラマーと、多彩なキャリアを歩んできました。転機は、共同経営していた会社の事業が行き詰まった際、Facebookで知った落合陽一さんの講義。そこでの出会いが、アートに無縁だった志村さんをメディアアートの世界へ引き込みました。

これまでに38カ国を旅した志村さんは、場所の特性を活かした制作を志向しています。ザンビアでの制作では、慢性的な停電が続く環境下で、あえて電気を必要とするメディアアートを作るという、テクノロジーの制約を逆手に取った経験が志村さんの視点を深めました。

また、幼少期に過ごした多摩川を「土地を分断する壁」のように感じていたことが、創作の原風景にあります。初めて訪れたカンボジアで感じた「見知らぬ世界へ踏み出す壁を越える感覚」が、現在の表現活動の根底に流れています。

現在は、メディアアートが盛んなドイツ語圏からアフリカまで、世界各地を舞台に「まだ見ぬ風景」と言葉を融合させる表現を追求しています。

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2026年02月09日

「モビル文学」とは

今週のゲストはメディアアーティストの志村翔太さんです。

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志村さんは神奈川県川崎市出身。大学卒業後、旅行会社、プログラマーを経て、情報科学芸術大学院大学博士前期課程修了。場所のナラティブをテーマに、モバイルテクノロジーを用いた新たなメディア表現を追求していらっしゃいます。

志村さんが提唱する「モビル文学」は、自転車で街を走りながら、小型プロジェクターで路面に小説を投影していく独自の表現活動です。

「街に小型プロジェクターで、文字を投影しますので、路面の状況とか、あと街の光ですね、そういったものに影響を受けて、文字が変化するっていうのがポイントかなと思います。一般的な、例えば文庫本だと同じフォントサイズで、同じ書体がずっと付いてると思うんですけど、映像メディアを使うということと、街の環境の影響を受けるってことで文字が揺れたり、ぶれたりするっていうのが、モビル文学の特徴かなと思います。」

固定された文庫本の活字とは異なり、街の光やアスファルトの凹凸によって文字が揺らぎ、形を変えるのが最大の特徴。幼少期から20年間欠かさず日記を書き続けてきたという志村さんの、「自分自身と対話し、言葉を刻む」ことへの深い執着が、モバイルテクノロジーと融合して生まれました。

今回の個展『モビル文学 多摩川アンセム・フォー・マイセルフ』
会場は、東京・蒲田にある元製鉄所の無骨な空間「ギャラリー南製作所」。舞台に選んだのは、志村さんが慣れ親しんだ「多摩川」です。川を境界として、生まれ育った川崎側と羽田空港側という「二つの場所」をテーマに、巨大な映像作品を展開しています。

会場には実際に自転車が一台設置されており、来場者は自身のスマートフォンに専用ソフトをインストールすることで、志村さんの制作プロセスを擬似体験できます。孤独なサイクリングを通じて街に物語を綴る、その「書く」と「走る」が一体となった感覚を体感できる構成です。

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2026年02月05日

「TISSUE Inc.」の活動とこれから

今週のゲストは「TISSUE Inc.」共同代表で、編集者の桜井祐さんです。

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2017年に安東嵩史さんと設立した「TISSUE Inc.」は、出版と地域振興を担う制作会社です。社名は偶然の産物ながら、複雑に絡み合い組織を成す「不織布」という意味を後付けし、柔軟なチーム編成で各地の行政や美術館の企画に携わっています。

表現活動は多岐にわたり、佐賀の伝統和紙を立体的に捉えるコレクティブ活動や、岩手県遠野の民俗芸能を綴った書籍の編集・解説など、地域の文化に深く潜り込む仕事が目立ちます。その姿勢は常に現場主義であり、単なるディレクションに留まらない深い洞察に裏打ちされています。

現在は遠野の「伝説の猟師」に焦点を当てた研究を進めており、猟師の視点から自然を捉え直すため、自ら狩猟免許を取得。桜井さんは、流行の「タイパ・コスパ」を超えた、本や現場での対話を重んじています!

「最近岩手県の遠野の方に入って、民俗芸能の研究をしていたんですけど、 次はちょっと、猟師、遠野物語に出てくる伝説の猟師のことを研究対象にしようかなと思っていて。 で、一緒に向こうにいる猟師さんと鹿を撮るのを一緒に回ったりとかしていたんですね、この秋に。これすごく面白いなと。やっぱり猟師さんの目で見る自然の見方がすごく面白いなと思って。じゃあ僕も狩猟免許を取ろうと思って、狩猟免許取りました。」

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2026年02月04日

本好き、服飾史研究、准教授としての顔

今週のゲストは「TISSUE Inc.」共同代表で、編集者の桜井祐さんです。

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桜井さんは編集者であると同時に、九州産業大学 芸術学部のソーシャルデザイン学科で准教授を務められています。大学では、「課題解決」の技術以上に、日常から「何が問題か」を見出す「課題発見」の重要性を説いています。

「生活のそばに横たわる課題の始まりをデザインする学科になればいいなと思っています。最近、学科とか専攻みたいなところが、問題解決、課題解決の手段を学ぶところとして、例えば絵画や、写真とかみたいな手段を打つテクニックを学ぶところが多いのですが、そうではなくて、普段生活する中で、これが問題なんじゃないかとか、ここにこういうところがあるんじゃない?みたいなことを発見して言えるような人、そういうことにフォーカス当てて色々と学んでいける学科にできればいいなというふうに考えていますね。」

研究者としての顔も持ち、大学院では「天の羽衣」という呼称と形態の習合過程を、古代の風土記や世界各地の「白鳥処女説話」の系譜から分析。

今回の展示においても、単なる記録の整理に留まらず、そこに眠る文化的源泉を掘り起こそうとする桜井さん。理屈っぽさを自認しながらも、膨大な知識に裏打ちされた彼のクリエイティビティは、現代において稀有な輝きを放っています。

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2026年02月03日

来場者参加型の展示『三軒茶屋 大三角地帯展』

今週のゲストは「TISSUE Inc.」共同代表で、編集者の桜井祐さんです。

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三軒茶屋の象徴「三角地帯」の歴史と記憶を紐解く『三軒茶屋 大三角地帯展―ひらき、ひもとく記憶と記録―』では、街の劇的な変遷を視覚的に体験できます。地名の由来となった江戸時代の街道から、明治時代の練兵場設置に伴う商店の発展、そして田畑が住宅地へと変わる過程を、同縮尺で重ね合わせた各時代の地図や写真で展示。かつての風景と現代の迷宮のような横丁がどう繋がっているのかを浮き彫りに...!

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最大の特徴は、来場者が情報を書き加えていく「参加型」の構成。会場を白紙の地図に見立て、ワークショップを通じて記憶を蓄積していきます。注目のワークショップでは、ミュージシャンのVIDEOTAPEMUSICさんをゲストに迎え、20〜30年後の未来へ残す街の姿を撮影します。また、毎週土曜日には一般から古い写真(データ・現物問わず)の持ち込みを受け付けており、その場でスキャンして展示に反映させる試みも行っています。

記録を更新し続ける「生きた展覧会」への参加やワークショップの応募は、世田谷文化生活情報センター「生活工房」の公式サイトから可能です。定員制の企画もあるため、三茶の記憶を共に紡ぎたい方は早めのチェックを!

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2026年02月02日

『三軒茶屋 大三角地帯展―ひらき、ひもとく記憶と記録―』

今週のゲストは「TISSUE Inc.」共同代表で、編集者の桜井祐さんです。

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桜井さんは1983年兵庫県生まれ。大阪外国語大学大学院を修了され、2017年、東京と九州の2拠点でクリエイティブディレクションを中心に行う「TISSUE Inc.」を設立。紙・Web・空間など、幅広い領域において企画・編集・ディレクションを行っています。

桜井さんが携わる展覧会『三軒茶屋 大三角地帯展―ひらき、ひもとく記憶と記録―』が、世田谷文化生活情報センター 生活工房ギャラリーで開催中です。本展は、世田谷区・三軒茶屋にある世田谷通りと玉川通りに挟まれた通称「三角地帯」をテーマにした来場者参加型の展示です。1月20日から3月22日まで開催されています!

「来場者参加型では、来場者の人自身に新しい、例えば自分のところに眠っている写真、聞いたことがある話、ここにこういうのがあったよねっていうものをどんどん更新していくような内容にしようと考えています。」

戦後の闇市に端を発し、現在は個性豊かな飲食店が迷路のように入り組むこのエリアは、地域の文化的な中心地でもあります。展示では「大三角地帯」と銘打ち、狭い路地裏の記録に留まらず、そこから周辺に広がる文化的な繋がりや、街に埋もれた記憶を丁寧に紐解いています。

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企画制作を担当する桜井さんが共同代表を務める「TISSUE Inc.」は、公益財団法人 せたがや文化財団と深い縁が...!以前、同財団が運営する世田谷文学館で、伝説的な編集者・植草甚一の展示を手掛けた実績が今回のプロジェクトに繋がりました。また、生活工房のアニュアルレポート制作に3年前から携わってきた文脈もあり、今回の展示が実現。古本や雑誌を愛する編集者ならではの視点を活かし、地域の歴史を現代へと接続する試みとなっています!


展覧会『三軒茶屋 大三角地帯展―ひらき、ひもとく記憶と記録―』
会場:生活工房ギャラリー(3F)(東京都世田谷区太子堂4-1-1 キャロットタワー内)
会期:2026年01月20日(火)~2026年03月22日(日)
時間:9:00~21:00 月曜休み(祝日は除く)
料金:入場無料

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2026年01月29日

レストランを取り巻く現状とこれから

今週のゲストは、東京最高のレストラン編集長の大木淳夫さんです。

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食の未来とトレンドについて、大木さんはファインダイニング(高級料理店)の先行きに厳しさを見ています。マンション価格のように高騰する料理代金と、人々の給料の伸びに大きな乖離が生じているため、今後は市場の二極化がさらに進むと予測しています。

また、フードテックの進化により「誰でも美味しい料理を作れる」時代が到来。だからこそ、テクノロジーでは代替できない「卓越した技術を持つシェフ」や「一流のサービス人」といった"個の力"に再び脚光が当たるとのこと。

「このレストランウィークを単年で終わらせるんじゃなくて、やっぱり10年、20年と続けていって、世界中からみんなが来るようになればいいなっていうのを一番今思ってますね。」

大木さんご自身の展望としては、現在開催中の「レストランウィーク」を一過性のイベントで終わらせず、10年、20年と継続させていくことを掲げています。世界中から美食家が集まる文化へと育て上げることが、これまで自身を支えてくれたレストラン業界への「恩返し」であるとおっしゃいます。世界一の食の都・東京のプライドを胸に、その魅力を次世代へ繋ぐための情熱的な挑戦はこれからも続いていきます!

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2026年01月28日

「東京最高の名物料理レストランウィーク」

今週のゲストは、東京最高のレストラン編集長の大木淳夫さんです。

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大木さんが企画・主宰する「東京最高の名物料理レストランウィーク2026」は、2026年1月19日から2月17日までの1ヶ月間、都内117の認定店で開催されている食の祭典です!

大木さんがこのイベントを立ち上げた背景には、「名物料理をコンビニなどで買って済ませるのではなく、実際にレストランへ足を運んでほしい」という強い願いがあります。また、レストランでの食事を、音楽のライブや演劇と同じく、その場の空気感までを味わう「一流のエンターテインメント」と定義。こうした"ライブ体験"こそが、人々の人生を豊かにすると信じているからです。

参加する117店舗は、大木さんや『東京最高のレストラン』の制作メンバー、そして有名アンバサダーシェフたちが厳密に選定。ニューヨーク、ロンドン、パリといった世界の大都市には、独自のレストランウィークが文化として根付いていますが、東京にはこれまで同様のオリジナルイベントがありませんでした。

本イベントには複雑な得票システムなどはなく、最大の目的は「まず店へ行き、お祭りを楽しむこと」にあります。各店自慢の名物料理を堪能し、SNSで発信するなどして、東京が誇る世界屈指のレストラン文化を肌で感じる動線づくりを目指しています!

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2026年01月27日

一人の食事を自由に謳歌する

今週のゲストは、東京最高のレストラン編集長の大木淳夫さんです。

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レストランのジャンルごとの魅力を舞台芸術に例える、大木さん独自の視点をご紹介いただきました。

「イタリアンはみんなで楽しくなるために行くミュージカル。フランス料理は総合芸術的なオペラ。そして、目の前で親方が技を披露する寿司は、まさにライブのような感覚なんです」

それぞれの店が持つ空気感を理解することで、外食の楽しみはさらに深まるといいます。
また、話題は「1人で食事を楽しむ極意」にも及びました。複数人での食事では相手への気遣いが必要ですが、
1人であれば読書をしながらお酒を嗜むなど、自分のペースで自由な時間を堪能できるのが魅力だそうです。

「一人のときは、自分の好きなことができる。複数で行くときに必要な『相手への気遣い』から解放され、自分だけの世界に浸れる自由があるんです」

2月5日には、「1人食べ」をテーマにしたトークイベントも開催!
山脇りこ×大木淳夫「達人(!?)が教える"ひとり食べ"の愉しみ」

大木さんと料理家でエッセイストでもある山脇りこさんとのトークショー!

会場は本屋B&B、チケットなどの詳細は是非こちらをご覧ください!
https://bookandbeer.com/event/20260205_pse/

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