2025年03月27日

気温上昇と桜の開花

今週のゲストは農学博士の勝木俊雄さんです。リモートでのご出演です。

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勝木さんが現在研究していることの1つが、桜の開花と気温について。

昨今気温がどんどん上昇していますが、東京などでは気温上昇により開花が早まっていると言われていますが、、実は『暖かすぎると開花が遅れる』という現象も存在しているということ。
桜の開花には、秋頃からの温度が影響してくるそうですが、特にソメイヨシノに関しては、暖かすぎることで衰弱し、花が咲かなくなってのだとか。

「去年の鹿児島なんかですと、一応咲いてはいるけど、東京で言う一分咲きぐらいがせいぜいという状況になっています。」

この先気温が上昇していってしまうと、この現象がさらに激しくなっていくということ。
上京が改善しない場合、鹿児島の人たちがお花見をするためには、ソメイヨシノ以外の桜を使用することになるということ。

そんな中、勝木さんたちはこの暖かい地域にもともと自生している「ヤマザクラ」の変種、ツクシヤマザクラなどを、使えるようにすることに取り組んでいるとのことです。

桜博士、勝木俊雄さんのご著書、是非一度手に取ってみて下さい。
知らない桜のお話が盛り沢山になっています。

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2025年03月25日

日本に分布する桜は、、、?

今週のゲストは農学博士の勝木俊雄さんです。リモートでのご出演です。

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分類学を専門とされている勝木さん。
生物学の中で、生き物を分類する時、基本となる単位は『種』。
この種の単位で数えた場合、桜の仲間が世界には60から80 ほどが、、、
そして日本の中には、約10種類が分布しているということ。
(人によって数え方が異なる場合があるということ。)

日本では桜が特に身近で、全国どこでも自生し、観賞されているのが特徴ですが、
世界では、観賞用や果樹として広く利用されているということ。

鑑賞という観点では、桜に限らず、世界もその文化があるそうですが、、、

「花を見せるときにお酒を飲む、しかも日本のお花見の場合、屋外て不特定多数の人が、賑やかにお酒を飲みますけども、、、こういう見方をするっていうのはなかなかないですね」


またここまで桜が重要視されるようになるまでには、いろいろな変遷があったそうですが、、

1つ大きな転換点は平安時代。それまで梅が主流だった観賞用の花に、桜が加わったことだそう。

「そもそも花見っていうのは、梅を使って3月3日の上巳の節句にお花見をするっていうのが、中国から伝わった文化から始まりまして。それが平安時代になると桜も使われるようになって。。。
またこの文化、奈良時代なんかは、貴族の上品ものだったわけなんですけど、だんだんと時代が変わって、江戸時代ぐらいなると庶民も参加するようなものにだんだん変化していったという感じですね。」

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2025年03月24日

100年ぶりの新種発見!

今週のゲストは農学博士の勝木俊雄さんです。リモートでのご出演です。

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勝木さんは1967年福岡県生まれ。東京大学大学院 農学系研究科修士課程修了。
専門は、樹木学や植物分類学などで、現在は、森林総合研究所 九州支所 産学官民連携推進調整監として、桜研究の第一線で活躍されていらっしゃいます。
主な著書には『桜』(岩波書店)『桜の科学』(SBクリエイティブ)などがあります。

勝木さんの所属する森林総合研究所は、国の林業試験場の位置づけを持つ研究機関で、木材生産から森林生態系まで幅広い研究を行っています。全国に支所がありそれぞれ、地域の森林の特性に応じた研究が進められています。

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勝木さんは2018年に「クマノザクラ」の発見に関わりました。
これは日本で100年ぶりの新種のサクラの発見とされ、きっかけは図鑑の改定作業でした。紀伊半島に特徴的なサクラがあるという情報を得て調査を開始し、最終的に新種と確認されました。

植物の分類において、一番大事なのは"花の形"。この観察をベースに研究を行っているということ!

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2025年03月20日

本来の姿を見てみたい...!

今週のゲストは、樹木医の瀬尾一樹さんです。

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瀬尾さんは今週、新刊が2冊を発売されました。

1冊目は、山と渓谷社より『科で見分けて楽しむ 雑草観察図鑑』
本書は、雑草をグループごとに分類し、特徴をつかみやすくした図鑑です。

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「ここまでフォーカスしたのは、多分無いんじゃないかなと」

また、『町のスキマ植物図鑑』は、それぞれの生態や特徴を解説することがメインでしたが、『雑草観察図鑑』では、種類を調べやすくした図鑑のような形になっています。

またもう1冊の新刊は、ベル出版から発売された『樹木医が教える木のすごい仕組み』。こちらは完全な読み物で木の生き方に注目した本です。

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「木の生き方に注目した本ですね、身近な木でも観察してわかる面白い事って結構たくさんあって。そういうところを紹介するような本になっています。」

最後にこれまでたくさんの植物を見て来た瀬尾さんに、海外の植物で、是非自分で観察してみたいものは?と伺うと「日本に外来種として入ってきた植物の故郷に行ってみたい」ということ。

例えば、河川敷で見られるセイタカアワダチソウは日本ではかなり侵略的なイメージを持たれていますが、原産地である北アメリカでは"可憐な菜の花"のように扱われているそう。
と語りました。

「植物がもともと居た場所ではどんな姿をして、どんな振る舞いをしているのか見に行きたいなっていうのが、ありますね。」

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2025年03月18日

異常気象と雑草

今週のゲストは、樹木医の瀬尾一樹さんです。

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近年、異常気象が深刻化していますが、、瀬尾さんの体感では変化を感じているということ。
「本来9月から10月にかけて翌年の春に咲く花・雑草が芽生え始めるんです。でも去年は10月頭くらいまで暑くて、10月中旬になってようやくいろいろな草たちが出て来たな、、という感じがあったので、その辺の影響はあるかもしれないですね。」

瀬尾さんが植物に興味を持ったのは20歳頃のこと。学生時代に参加した植物観察会がきっかけでした。
「シロツメクサを探していたんですけど、よく似たカタバミという植物もいるんですよね。この形の違いが分かるのが面白いなっておもって。」
以降、図鑑や観察会を通じて植物の奥深さに魅了されていったそう。

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2025年03月17日

雑草とは??

今週のゲストは、樹木医の瀬尾一樹さんです。

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瀬尾さんは埼玉県出身。2019年から21年までX(旧Twitter)で植物の名前を答える活動を行い、1年半で約2万回植物の名前を答えて話題に。2020年には『街のスキマ植物図鑑』を出版。個人向けガイドや植物観察会、トークイベントなどを通じて身近に見られる植物の魅力を発信しています。

著書『街のスキマ植物図鑑』では、新宿駅周辺を歩き回りながら見つけた野生植物を紹介しており、新宿駅から1時間ほど歩き回って見つけた野生植物の数は、なんと124種類。

このルートは、新宿駅のバスタ新宿のある出口をスタートし、代々木駅方面へ進み、2〜3キロほど歩いたものだそう。距離としては15分ほどの距離になります。

本で紹介されているのは、一般的に雑草と呼ばれるものたち、、ちなみに雑草は「決まった定義はなく、人が邪魔だと思った植物が雑草と呼ばれることが多い」とのこと。

また著書の中には、植物たちの面白い生存戦略がいくつも紹介されています。
例えば「オオバコ」は、人がよく通る道沿いに生えていますが、踏まれることで種を運ぶ特性を持っているということ!

「普段の散歩でも目線を変えるだけで、街の植物の面白さが見えてくる」と瀬尾さん。
街歩きの新たな視点を教えてくれました。

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2025年03月13日

復旧・生活再建の過程でも被災者を取り残さない

今週のゲストはメディア研究者の 村上圭子さんです。

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村上さんは、能登半島地震の取材を続ける中で、災害直後だけでなく、その後の復旧・生活再建の過程でも被災者を取り残さないことが重要だと語っています。

そうした中、2月23日には石川県輪島市町野地区で1日限りのラジオイベントが開催されました。
町野町は、特に被害がひどかった地区で雨の二重被害で、500人ほどが仮設住宅に住んでいらっしゃるということ。
ラジオイベントのきっかけは、町野町復興プロジェクト実行委員会の人がラジオをやってみたいと考えていたからでした。

「情報も伝えたいし人の心も繋ぎたいしっていうふうなことで。ただ担い手や、運営資金など色々な課題があるので、とりあえずお試しでやってみようということで、実験放送をやりました。」

現在は今後の定期的な放送の継続を検討するフェーズに入っているということです。

村上さんは今年1月末に33年間勤めたNHKを早期退職し、フリーのメディア研究者として新たな道を歩み始めました。「災害は暴力的に地域を破壊し、人の命や心を傷つけます。しかし、その絶望の中で人々が再起していく力強さにも学ばせていただいています」と仰っていました。

「被災地に限らず、少子高齢化や地域衰退といった問題に対しても、どうすれば取り残される人を減らせるのか。災害を通じて学んだことを活かし、どのように再生していくのかという汎用的な仕組み作りを考えるためにも、、被災地に色々なアイデアを出していく提案していくことが自分の役割だと考えています」

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2025年03月12日

スマホの普及による変化

今週のゲストはメディア研究者の 村上圭子さんです。

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長年、被災地で取材や調査を続けている村上さんに、昨年発生した能登半島地震について、過去の震災と比べた特徴を伺いました。

「人が少ないというのがあると思います。また集落単位の結束が強くて、大きな避難所へ移ることを避ける傾向がありますね。そのため、情報伝達が難しい場面がありました」

能登半島地震の取材を続ける村上さんは、過去の震災と比べた際の特徴について語りました。「能登半島の地域性として、集落単位の結束が強く、大きな避難所へ移ることを避ける傾向があります。そのため、情報伝達が難しい場面がありました」と話します。

また、村上さんは震災後、ラジオ局の立ち上げを検討しましたが、東日本大震災の時と大きく状況が異なっていたのが"スマホの普及"でした。
能登半島地震は被害が大きかったにも関わらず、Starlinkという衛星ブロードバンドが大きな役割を果たし、インターネット環境がだいぶ早く回復したそう。

「情報を得るにも、もうみんなスマホで、自治体も情報伝達をLINEで行うようになりました。」

しかし、スマホを使えない高齢者や、孤立地域の住民にとっては、依然としてラジオが重要な情報源だったそう。と指摘します。自治体がLINEでの情報発信に頼ることで、一部の住民が情報から取り残された可能性があります。

「きつい言い方をすると、自治体の皆さんが少数の見えない人たちに関しては全体最適ということになってしまったのは、これはやっぱり考えないといけないことなんじゃないかなって。これは能登半島地震の一つの教訓じゃないかなっていうふうに思っています。」

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2025年03月11日

ラジオの力を再確認

今週のゲストはメディア研究者の 村上圭子さんです。

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今年で東日本大震災から14年。村上さんは震災の半年前にNHK放送文化研究所へ移りながらも、震災後は報道の現場に戻り、取材を続けていました。「被害が広範囲に及んだため、どこが取材できているのか全体像が把握できず、情報の空白地帯が生まれた」と振り返っています。

また、この災害では多くの人がラジオの力を再確認した機会になりました。

この東日本大震災の時は、津波の被害があったため通信障害や停電が長期間続きました。そんな中、市区町村単位のコミュニティFMが被災者の安否情報や生活情報を発信し、大きな役割を果たしたといいます。東北と茨城にあった10のコミュニティFMは、スタッフが3〜4人と少人数ながらも、寝る間を惜しんで放送を続けていたそう。

さらに、コミュニティFMがない地域では、災害時に自治体が立ち上げる「臨時災害放送局(災害FM)」が活躍しました。
免許取得も簡単で、最低限の機材があればすぐに運営可能なこの制度は、阪神淡路大震災時に導入されたものですが、東日本大震災では特にその価値が証明されました。

「東北と茨城の18の自治体で災害FMが立ち上がったていう、これがある種トピックスだったかなと思います。」

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2025年03月10日

災害情報と地域メディア

今週のゲストはメディア研究者の 村上圭子さんです。

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村上さんは、学習院大学法学部卒業後、1992年NHKに入局。報道局でディレクターとして『NHKスペシャル』『クローズアップ現代』等を担当後、ラジオセンターを経て、2010年よりNHK放送文化研究所で、メディア研究に携わり、今年1月に、退職。
現在は、フリーのメディア研究者として活動されていらっしゃいます。

村上さんは「災害情報と地域メディア」という観点から長年、被災地で取材や調査をされていらっしゃいます。
村上さんは阪神淡路大震災が発生した時、入社して3年目で、当時は報道局でディレクターをやっていたそう。2日目に現場に入り、実際に情報が届く場所と全く届かない場所の差に衝撃を受けたといいます。また、この時指摘されていたのが『ヘリコプターの音』でした。

「実際に取材をしてみると、建物倒壊した中に生きてらっしゃる方がたくさんいらっしゃって。救出を"声"を頼りやっていたんです。 それで私、お話聞かせていただけませんかって3年目だからおどおど言ったら、ものすごく怒られてですね。胸ぐらをつかまれて、『お前たちメディアが俺たちの家族を殺してるんだ』って言われてですね。」

取材をやめて、一緒に救出をしたという経験があるそう。
この経験から、メディアが災害時に果たすべき役割について深く考えるようになったといいます。

「マスメディアがやることって、被災地の状況を外部に伝える報道と、被災者に必要な情報を届ける『災害情報伝達』と大きく2つあると思うんです。1人でも多くの人の命を救うためにどうやって情報を伝えていくのかとそのために何ができるのかっていうふうなことを自分自身考えたいと。」

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