2026年02月23日
お知らせ
現在、「LOHAS TALK」は放送を休止させて頂きます。(2026年2月23日)
現在、「LOHAS TALK」は放送を休止させて頂きます。(2026年2月23日)
今週のゲストは画家・作家の井上奈奈さんです。

井上さんは、冒険家の荻田泰永さんとの共著『PIHOTEK 北極を風と歩く』の続編取材のため、北極のグリーンランドを訪れました。氷と雪の世界を自らの足で歩き通した実体験をもとに、荻田さんが文章、井上さんが絵を担当する共同制作が進んでいます。また、年内の刊行を目指して旅エッセイの執筆にも取り組んでいます。
2月28日には、横浜の野毛近辺に新拠点「HON」をプレオープン!荻田さんの「冒険研究所書店」と協力したこの場所は、「本」と、抜きんでた才能を意味する「一角(角=ホーン)」を掛け合わせた名で、多彩なゲストを招くイベントスペース兼書店として展開予定です。
また、3月23日からは青山ブックセンターにて展示会を開催し、ブックデザイナーの祖父江慎さんとのトークショーも行われます。執筆、絵画、デザインといった専門領域の垣根を越え、本という媒体をトータルプロデュースする「新しいタイプの作家」として、井上さんの活動はさらなる広がりを見せています。
今週のゲストは画家・作家の井上奈奈さんです。

2月20日から3月15日まで、東京・勝どきのギャラリー「バタフライストローク」にて出版記念展が開催されます。金・土・日のみ開館という隠れ家的な本展は、辿り着くまでの「冒険」も見どころ。物流エレベーターを降り、昭和の街並みを再現した空間を抜けてギャラリーへ向かう、迷い込むような体験を楽しめます。
そして特別イベントも!2月22日のパーティーを皮切りに、3月1日の「絵本制作/レビューセッション」という絵本制作相談会、3月8日のブックディレクター・幅允孝さんとのトークショーなど、本好き必見の企画が目白押しです。展示内容は、新刊に加え、これまでに手掛けた10冊以上の作品も一堂に会します。
井上さんの豊かな想像力は、読者の視座を鮮やかに変える池澤夏樹さんの小説や、兄の影響で親しんだ少年漫画への深い敬意から育まれました。雪国で育ち、雪を見上げて「自分が上昇している」と感じるような独特の感性が、唯一無二のアートブックへと昇華されています。
今週のゲストは画家・作家の井上奈奈さんです。

井上さんとブックデザイナーの祖父江慎さん、そして製本のスペシャリスト「篠原紙工」がタッグを組んだ『猫の悪口』は、造本の常識を覆す「前代未聞のアートブック」です。
祖父江慎さんによるデザインは、愛猫キリグの曲線から導き出された躍動感あふれる文字組みや、ランダムに変わるページの開き、観音開きの中に別の物語が隠れる仕様など、手に取ることでしか味わえない多層的な体験を創出しています。帯の長さが前後で異なり、タイトルの一部が欠けているといった細部にも、猫のような「おかしみ」と遊び心が満載です!
技術面では、通常は糊の付きを良くするための「ミーリング加工」をあえて意匠として採用し、猫のひっかき傷のようなギザギザの天を表現。さらに、重厚な厚紙を使いつつ軽やかさを両立させた特殊な「スイス装」により、ずっしりとした存在感を放ちます。「時間を閉じ込めた」と評される通り、開くたびに異なる時間が流れるような、舐めるように読み込みたい一冊です。
今週のゲストは画家・作家の井上奈奈さんです。

井上さんは、京都府舞鶴市生まれ。16歳の時に単身アメリカへ留学され、美術を学び、武蔵野美術大学へ。卒業後は、国内外での個展やアートフェアにて作品発表を続け、近年は絵本作品を発表。本作りを「建築」ととらえ、制作を続けていらっしゃいます。
2月22日「猫の日」に刊行される井上さんの新刊『猫の悪口』は、思い通りにならない存在と共に生きる面白さとおかしさを描いたアートブックです。タイトルに反して、描かれているのは愛猫への深い信頼と日常に潜む可笑しみです。
「猫の悪口というタイトルなんですけれども、本当に言いたいのは悪口ではなくて、思い通りにならない存在と一緒に生きる面白さとかおかしさを書いた一冊で、その蔵本そのもので猫の姿を表現しているようなアートブックになります。」
モデルは7年前からアトリエで共に過ごす元野良猫の「キリグ」!トイレまで見張りに来るような猫特有の習性や実在の家具が登場するなど、内容はほぼ実体験に基づいています。井上さんは、おねだりをする犬とは対照的に、「当然の権利」として悠然と振る舞う猫の距離感が、自身の生活スタイルに合っているとおっしゃいます。
本書は装丁そのもので猫の姿を表現しており、読者はページをめくるたびに、まるで本物の猫に翻弄されるような感覚を味わえます。子どもへの読み聞かせはもちろん、一筋縄ではいかない造本を楽しみたい大人や、全ての猫好きに捧げられた一冊です!「役に立つことはしないが、ただただ見つめ続けてくれる」――そんな猫という不思議な同志への愛が、芸術的な一冊の形となって結実しました。
今週のゲストはメディアアーティストの志村翔太さんです。

志村さんの表現の根底には、高校時代から小説家を目指し、新人賞へ応募し続けたものの芽が出なかったという過去があります。自らの小説を多くの人に届けたいという切実な願いが、自転車型の筐体で文字の街を移動するジェフリー・ショーの作品『レジブル・シティ』への共感と結びつき、独自のスタイルへと昇華されました。
現在、東京・蒲田のギャラリー南製作所で開催中の個展『モビル文学 多摩川アンセム・フォー・マイセルフ』は、文化庁の支援を受けた入場無料のプロジェクトです。自転車とスマートフォンという身近な道具を使う志村さんの作品は、専門家だけでなく地域の高齢者にも親しみやすいシンプルさを備えています。修士研究から始まったこの活動は、現在では10篇ほどの作品群へと成長しました。
会期は2月15日(日)まで。京急蒲田駅から徒歩15分の会場には志村さんご本人が在廊し、来場者の「自転車体験」を募っています。今後は活動の場を世界へ広げ、メディアアートの聖地であるオーストリアの「Ars Electronica(アルスエレクトロニカ)」での展示を目標に、新たな街の記憶を紡ぎ続けます。
「モビル文学をやっぱりこれまで以上にいろんな国や地域で発表、制作したいですし、アルスエレクトロニカというオーストリアのメディアアートのフェスティバルで展示したいなと思っていて、制作を続けている感じです。頑張ります。」
今週のゲストはメディアアーティストの志村翔太さんです。

志村さんは、大学での政治学専攻、バックパッカー、旅行会社の添乗員、そしてプログラマーと、多彩なキャリアを歩んできました。転機は、共同経営していた会社の事業が行き詰まった際、Facebookで知った落合陽一さんの講義。そこでの出会いが、アートに無縁だった志村さんをメディアアートの世界へ引き込みました。
これまでに38カ国を旅した志村さんは、場所の特性を活かした制作を志向しています。ザンビアでの制作では、慢性的な停電が続く環境下で、あえて電気を必要とするメディアアートを作るという、テクノロジーの制約を逆手に取った経験が志村さんの視点を深めました。
また、幼少期に過ごした多摩川を「土地を分断する壁」のように感じていたことが、創作の原風景にあります。初めて訪れたカンボジアで感じた「見知らぬ世界へ踏み出す壁を越える感覚」が、現在の表現活動の根底に流れています。
現在は、メディアアートが盛んなドイツ語圏からアフリカまで、世界各地を舞台に「まだ見ぬ風景」と言葉を融合させる表現を追求しています。
今週のゲストはメディアアーティストの志村翔太さんです。

志村さんは神奈川県川崎市出身。大学卒業後、旅行会社、プログラマーを経て、情報科学芸術大学院大学博士前期課程修了。場所のナラティブをテーマに、モバイルテクノロジーを用いた新たなメディア表現を追求していらっしゃいます。
志村さんが提唱する「モビル文学」は、自転車で街を走りながら、小型プロジェクターで路面に小説を投影していく独自の表現活動です。
「街に小型プロジェクターで、文字を投影しますので、路面の状況とか、あと街の光ですね、そういったものに影響を受けて、文字が変化するっていうのがポイントかなと思います。一般的な、例えば文庫本だと同じフォントサイズで、同じ書体がずっと付いてると思うんですけど、映像メディアを使うということと、街の環境の影響を受けるってことで文字が揺れたり、ぶれたりするっていうのが、モビル文学の特徴かなと思います。」
固定された文庫本の活字とは異なり、街の光やアスファルトの凹凸によって文字が揺らぎ、形を変えるのが最大の特徴。幼少期から20年間欠かさず日記を書き続けてきたという志村さんの、「自分自身と対話し、言葉を刻む」ことへの深い執着が、モバイルテクノロジーと融合して生まれました。
今回の個展『モビル文学 多摩川アンセム・フォー・マイセルフ』。
会場は、東京・蒲田にある元製鉄所の無骨な空間「ギャラリー南製作所」。舞台に選んだのは、志村さんが慣れ親しんだ「多摩川」です。川を境界として、生まれ育った川崎側と羽田空港側という「二つの場所」をテーマに、巨大な映像作品を展開しています。
会場には実際に自転車が一台設置されており、来場者は自身のスマートフォンに専用ソフトをインストールすることで、志村さんの制作プロセスを擬似体験できます。孤独なサイクリングを通じて街に物語を綴る、その「書く」と「走る」が一体となった感覚を体感できる構成です。
今週のゲストは「TISSUE Inc.」共同代表で、編集者の桜井祐さんです。

2017年に安東嵩史さんと設立した「TISSUE Inc.」は、出版と地域振興を担う制作会社です。社名は偶然の産物ながら、複雑に絡み合い組織を成す「不織布」という意味を後付けし、柔軟なチーム編成で各地の行政や美術館の企画に携わっています。
表現活動は多岐にわたり、佐賀の伝統和紙を立体的に捉えるコレクティブ活動や、岩手県遠野の民俗芸能を綴った書籍の編集・解説など、地域の文化に深く潜り込む仕事が目立ちます。その姿勢は常に現場主義であり、単なるディレクションに留まらない深い洞察に裏打ちされています。
現在は遠野の「伝説の猟師」に焦点を当てた研究を進めており、猟師の視点から自然を捉え直すため、自ら狩猟免許を取得。桜井さんは、流行の「タイパ・コスパ」を超えた、本や現場での対話を重んじています!
「最近岩手県の遠野の方に入って、民俗芸能の研究をしていたんですけど、 次はちょっと、猟師、遠野物語に出てくる伝説の猟師のことを研究対象にしようかなと思っていて。 で、一緒に向こうにいる猟師さんと鹿を撮るのを一緒に回ったりとかしていたんですね、この秋に。これすごく面白いなと。やっぱり猟師さんの目で見る自然の見方がすごく面白いなと思って。じゃあ僕も狩猟免許を取ろうと思って、狩猟免許取りました。」
今週のゲストは「TISSUE Inc.」共同代表で、編集者の桜井祐さんです。

桜井さんは編集者であると同時に、九州産業大学 芸術学部のソーシャルデザイン学科で准教授を務められています。大学では、「課題解決」の技術以上に、日常から「何が問題か」を見出す「課題発見」の重要性を説いています。
「生活のそばに横たわる課題の始まりをデザインする学科になればいいなと思っています。最近、学科とか専攻みたいなところが、問題解決、課題解決の手段を学ぶところとして、例えば絵画や、写真とかみたいな手段を打つテクニックを学ぶところが多いのですが、そうではなくて、普段生活する中で、これが問題なんじゃないかとか、ここにこういうところがあるんじゃない?みたいなことを発見して言えるような人、そういうことにフォーカス当てて色々と学んでいける学科にできればいいなというふうに考えていますね。」
研究者としての顔も持ち、大学院では「天の羽衣」という呼称と形態の習合過程を、古代の風土記や世界各地の「白鳥処女説話」の系譜から分析。
今回の展示においても、単なる記録の整理に留まらず、そこに眠る文化的源泉を掘り起こそうとする桜井さん。理屈っぽさを自認しながらも、膨大な知識に裏打ちされた彼のクリエイティビティは、現代において稀有な輝きを放っています。