2022年12月21日

精神科医に通じる、酒造りの現場。

星野概念さんは、精神科医として勤務しながら、
音楽活動や執筆などをされていらっしゃいます。

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星野「誰かをパッと見て、人を判断できる鋭さがないので
   一生懸命話を聞きます。必要なときはお薬もオススメします。
   東洋医学の勉強もしているので、その人にあった形を
   どうにかして見つけていきたいなと思っています。」

小黒「漢方よりも特効薬かもしれない、お酒の話も聞きたいんですけど(笑)
   酒の文化にご興味があるんですよね?」

星野「僕、はじめは、日本酒の熱燗にハマっていたんです。
   その後、酒造現場に通っているうちに、お酒を作る方々が、
   『酒造りの主役は”菌”で、場を整え、常に菌を見守る』
   という感じの事をおっしゃっていて。
   これって自分の仕事に重なるものがあって、
   すごく影響を受けることがたくさんあるな、と。
   それに、話を伺った後に、杜氏さんと飲むお酒は格別なんです(笑)」

小黒「発酵に関しては、どういうライフワークになってるんですか?」

星野「味噌、醤油を作っている現場にも行ったりしたんですけど
   やっぱり、日本酒の現場が好きで。
   杜氏の石川達也さんの酒造りに心酔しています。
   本当に地味で、地道な仕事を、冬の間休みなく続けられているんです。
   省略しないと、ここまで複雑な面白い酒ができるんだと知れることが
   自分にとっては、豊かさを生み出す事だなと思います。」

星野さんが尊敬して止まないという、石川達也さんは、現在、
茨城県大洗市にある『月の井酒造』の杜氏をされています。

今夜の選曲: JOIST 1
      / FRACTAL LIMIT, VARDAN OVSEPIAN & TATIANA PARRA

staff| 21:00 | カテゴリー:ゲストトーク

2022年12月20日

プロミュージシャンを諦めた理由。

現在、精神科医などの肩書きを持つ星野概念さん。
実は、精神科医になる前に、プロのミュージシャンを目指していました。

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星野「当時やっていたのは、5人のバンドで
   ざっくり言えば、ポップミュージックです。
   録音をして、作品を出して、ツアーをするのを繰り返していました。」

小黒「ツアーも?もうプロじゃない?」

星野「ですかね?(笑)グローバーさんのバンドとも
   何回か対バンしましたけど。
   医師の免許は持っていましたけど、常勤で働けなかったので
   バンドメインで10年くらいやってましたね。」

小黒「諦めたきっかけは?」

星野「バンドでしっかり食べていくというのは、
   ムリじゃないかと感じた、ただそれだけです(笑)」

ここ10年ほどで、常勤の精神科医として勤務。
患者さんと距離を縮める手段として、
音楽を使っていることもあるとか。

小黒「精神科に通っている患者さんが、
   悪化した、改善した、というのは、先生が決めるものですか?」

星野「医療者と当人の感じ方が一致していれば良いですけど
   一致していない場合は、当人の方が楽になったと思うのが全てだと思います。
   ご自身で、”こういう変化があった” ってたくさん話してくださるようになると
   ありがたくて、嬉しいなって思います。」

今夜の選曲:TROMPE L'OEIL
      / FRACTAL LIMIT, VARDAN OVSEPIAN & TATIANA PARRA

staff| 21:00 | カテゴリー:ゲストトーク

2022年12月19日

肩書き ”精神科など” への思いと、不思議な著書。

今週は、星野概念さんをお迎えしています。

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星野さんは、1978年生まれ。
精神科医として病院に勤務する傍ら、執筆も行われ、
BRUTUSの「本の診察室」など、
雑誌やWebでの連載を多く手掛けています。
また、音楽活動も行っていらっしゃいます。

星野「今は、1週間のうち、1番時間を割いているのは
   精神科医の仕事なんですけれど、書き物や音楽をしている時間もあって。
   少ない時間だけど一生懸命やっていることでもあるので
   捨て置いたりとかをしたくないと思って、
   『精神科医など』っていう肩書きかな、と思っています。」

昨年には、自身初の単著
『ないようである、かもしれない~発酵ラブな精神科医の妄言』が、
ミシマ社より発売されています。

小黒「なんの本だかわかんないけど、感じたのは
   ”ないようである、かもしれない”とか、”精神科医など”みたいな
   哲学的な、禅問答のようなものに興味がある方なのかな?と。
   あまり、意味を求めていない本作りだと思いましたね。
   出版社はえらいね〜(笑)」

星野「僕、はっきりと物事を言ったり、
   わかったような感じで物事を言うっていうのが違和感があって。
   そんな、物事とか人って、そんなに分かりきらないよなぁ、と。
   曖昧なままの事を書けると良いなぁ、と思って書いていて…
   そしたら、本当何のための本かよく分からないっていう(笑)」

書籍の中には、星野さんが尊敬しているという、
患者さんに謝ってばかりいるという、
87歳になる岡山のヤマモト先生も登場します。

星野「その先生は、患者さんの立場の方と一緒に、
   診療所を60歳で作られているんです。
   先生の人生のテーマが共生で、そういう場を作ったっていうのが
   本当にすごいなって。僕もこれからやっていきたいと思っています。」

今夜の選曲: SONHO EXPRESS
      / FRACTAL LIMIT, VARDAN OVSEPIAN & TATIANA PARRA

staff| 21:00 | カテゴリー:ゲストトーク

2022年12月13日

エシカル・ファッション・ブランド「SHIFT 80」とは?

SHIFT 80 代表、坂田ミギーさんをお迎えしています。


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坂田さんが旅する地域としても自分に合っているなと
感じたのは、やはりアフリカ大陸。
坂田さん曰く、アフリカには”恋”していると
いいます。

そんな中、今から10年ほど前にケニア、
ナイロビにあるキベラスラムに出会います。
キベラスラムの当時の状況を知った坂田さんは、
代表を務める『SHIFT80』を立ち上げます。

坂田「キベラスラムの仲間たちと一緒に
何かをできないかということで、
彼らの才能を活かせる事業を一緒にやって
その利益を彼らとシェアすることを
目的に立ち上げました。
リリアンという仲間は、独学でデザイナーに
なって、ケニアのショッピングモールで
ファッションショーをするくらい評価されて
いたので、日本向けの服をデザインして
もらって、それを販売することで、
日本の皆さんに商品を手に取ってもらう
だけでなく、スラムの才能を発信することが
できるようにと考えています。」

今夜の選曲… KIBERA/THE PLASTIC REVOLUTION

staff| 21:00 | カテゴリー:ゲストトーク

2022年12月12日

世界中を旅して…というお話、伺います。

SHIFT 80 代表、坂田ミギーさんをお迎えしています。


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坂田さんは、福島生まれの福岡育ち。
広告制作会社、博報堂ケトルを経て独立。
旅やキャリアについてのエッセイ執筆や講演のほか、
キャンピングカーで日本を旅しながら
働くスタイルを実践され、また今年2月には 
エシカルファッションのブランド「SHIFT 80」を
立ち上げていらっしゃいます。

さらに、クリエイティブディレクターや、
エッセイスト、カフェオーナーの一面も持つ坂田さん。

坂田「旅を好きになったのは大学四年生の時。
大学の時にうつ病で療養生活をしていたんですけど、
インドに行って現地でびっくりして元気になったのが、
きっかけで旅をするようになりました。」

小黒「今まで訪れたのがどのくらいの
国数になるんでしょう?」

坂田「だいたい40カ国くらいです。必ず年に2回
2週間くらいの休みを取れるように会社の人にも
交渉して、旅をしていました。基本、私は一人旅の
スタイルです。1人で旅する自由さとか、色々な
出会いに病みつきになって今では、一人旅が大好きですね。」

今夜の選曲… KIBERA(FEAT.LUTAN FYAH)/JOHNNY VIGETI

staff| 21:00 | カテゴリー:ゲストトーク

2022年12月08日

誰も聞いたことのない、音を求めて…

今週のゲストはアコーディオニスト、作曲家のcobaさんです。
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cobaさんが立ち上げたアコーディオン、バンドネオンなどの
蛇腹楽器生誕200周年を20年かけてカウントダウンする
壮大なプロジェクト。それが、Bellows Lovers Nightです。

記念すべき蛇腹楽器生誕200周年であり、20年目の、
Bellows Lovers Night が12月31日(土)大晦日に
横浜赤レンガ倉庫で開催されます。
https://www.coba-net.com/bln20_yokohama/

coba 「蛇腹楽器を世界に運んでくれた
船乗りたちに敬意を表して港町で開催しようという
コンセプトなんです。横浜の他にも、札幌、名古屋、
神戸で行います。札幌だけ港がないんですけど笑」
30組以上のアーティストが集結する祭典となっています。

最後に今後、更にアコーディオンで目指していきたいことを
伺いました。

coba「自分のやりたいことに素直に行きたいですね。
夢はたくさんありますけど、いつも誰も聞いたことのない音を
届けていきたいなと思います。」

▼蛇腹楽器生誕200年記念 Bellows Lovers Night
 ・11月13日(日) 会場:福岡 Gate’s 7 18時開演
 ・12月20日(火) 会場:札幌 cube garden 18時半開演
 ・12月22日(木) 会場:名古屋 THE BOTTOM LINE 19時開演
 ・12月24日(土) 会場:神戸 Live Hall クラブ月世界 18時開演
 ・12月31日(土) 会場:横浜赤レンガ倉庫 16時開演
詳しくはcobaさんのHPをご覧ください。
https://www.coba-net.com

▼30周年記念アルバム「サムライアコーディオン」を引っ提げた
全国ツアー『coba tour 2023 サムライ アコーディオン 弾きすて御免!』が
来年2月から開催!
https://www.coba-net.com/tour2023samurai/

今夜の選曲… coba / Crimson Strings

staff| 21:00 | カテゴリー:ゲストトーク

2022年12月07日

海とアコーディオン。そして、ビョークとの出逢い。

今週のゲストはアコーディオニスト、作曲家のcobaさんです。
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cobaさんはイタリア・カステルフィダルド市より
世界で3人目となる名誉市民賞を受賞。
カステルフィダルド市は、世界のアコーディオンの
9割を作っている都市。
イタリアを長靴に見立てると、ちょうどふくらはぎに
あたるところに位置しています。

小黒「港とアコーディオンって勝手に繋がって
しまいますよね。」

coba「……おっ、その話、ものすごく面白いんです。
僕はいつもボーダーのシャツを着ているんです。
というのも、アコーディオンができてから、ある職業の
間で大ブレイクしたんです。
その職業というのは“船乗り”なんです。
各港、港の酒屋でアコーディオンを披露して……その港の
船乗りが欲しがって、という流れで世界にアコーディオンが
広まって行ったんです。
だから僕がボーダーを着るのは彼らに対しての
リスペクトの現れでもあるんです。」

cobaさんのアーティストとしての転機はアイスランドが
生んだ歌姫・ビョークとの出会いでした。
ヨーロッパの情報誌に掲載されたcobaさんの写真を
きっかけにライブを見にきたのが2人の出会いでした。

coba「当時の僕はイギリスのギター音楽を
全く聞いてなくて、テクノくらいしかきいて
なかったんです。彼女が来て、バンドメンバーが
『ビョークだ!!』って驚いているんですけど、
僕は彼女が女性だということも知らなくて……。
強そうな名前だったし、一緒に来たハウィー・B
というプロデューサーに向かって
『Hi,Björk.I love your music.』って言ったら、
『違う違う、隣だ』って言われてしまって…」

その後、ビョークとは3年間、ツアーに帯同して
日本での公演も行われました。

▼最新情報はcobaさんのHPでご確認ください。
https://www.coba-net.com

今夜の選曲… coba / Go Go カーニバル

staff| 21:00 | カテゴリー:ゲストトーク

2022年12月06日

アコーディオンをヴェネチアで学ぶ、ということ。

今週のゲストはアコーディオニスト、作曲家のcobaさんです。
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18歳でイタリアに留学し、ヴェネツィアの
ルチアーノ・ファンチェルリ音楽院の
アコーディオン科に入学したcobaさん。

ちなみにヨーロッパではアコーディオン科が
大体の学校に設置されていますが、
日本の音大には残念ながら存在していません。

cobaさんがイタリアに渡った1978年当時、
大学院で唯一の東洋人でした。

coba「ルチアーノ・ファンチェルリで
学んだこと……アコーディオンというものが
人生の相棒になるという予感がすでに
ありましたね。僕の人生の興味の対象は
全部このアコーディオンと、イタリアの
留学で学んだものだから。」

アコーディオンを学術的に学ぼうと思い、
周囲から話を聞くたびに出てくるのは、
ルチアーノ・ファンチェルリ大学院の名前。
そこから先は曰く、殴り込み。
イタリアまで入試を受けにいき、試験官の前で3分ほど
アコーディオンを披露した段階で、演奏を
止められ『君がアコーディオンを弾いている
だけで、世の中のためにはならない!』と
言われました。

coba「……これは落ちたなと思いました。
でも、校長が熱心な方で、試験の後、校長室に
呼ばれて行ったら話を聞いてくれたんです。
……そしたら、受かってたんですよね!
その校長もイタリア人にしては珍しくストイックな
人で、僕が教えるのにちょうど良かったのかも?」

▼最新情報はcobaさんのHPでご覧いただけます。
https://www.coba-net.com

今夜の選曲… coba /Katana Soul

staff| 21:00 | カテゴリー:ゲストトーク

2022年12月05日

CDデビュー30周年を迎えたcobaさん と アコーディオンのお話、たっぷりと伺います。

今週のゲストはアコーディオニスト、作曲家のcobaさんです。
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長野県出身。18歳でイタリアに留学し、
アコーディオンの頂点を目指す学生が
世界各地から集結する名門校、ヴェネツィアの
ルチアーノ・ファンチェルリ音楽院を首席卒業。
ウィーンで開催された世界アコーディオンコンクールで
東洋人初優勝など始め、数々の国際コンクールで優勝。
また、作曲家として映画・舞台・CMの音楽も
数多く手がけられています。

昨年の11月にはCDデビュー30周年を迎えられ、
10月に30周年記念アルバム『サムライアコーディオン』を
発売されました。

coba「僕が子供の頃のアコーディオンはのど自慢の
伴奏や、お笑いの合間に音を出す楽器で、それを変えたい
という夢を持ってイタリアに渡るんです。
30年続けてきましたが、その思いの延長線で続けてきましたね。」

最新アルバム『サムライアコーディオン』は、
侍とアコーディオンの組み合わせ……
このタイトルにした理由とは?

coba「僕の中では30年間いつも新しい音楽を目指して、
アコーディオンという楽器を変えようと、
“戦い”続けてきたな、という思いがあったんです。」

▼最新情報はcobaさんのHPでご確認ください。
https://www.coba-net.com

今夜の選曲… coba /ミモザ feat.アフロ(MOROHA)

staff| 21:00 | カテゴリー:ゲストトーク

2022年12月01日

絵画と漫画、日本美術の現在地。

額装家・高野淳一さんをお迎えしています。
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美術館はどんどん増えている昨今。
都内だけでなく、地方の美術館事情を
ご存知の高野さんから見た、日本の美術事情とは?

高野「これ言っていいか分からないですけど、
あんまり日本には浸透しにくいんですよね。
好きな人は好きで興味はあるんですけど、
日本人としてという切り口だとまだまだ
少ないと思います。
海外では印象派の時代に日本の浮世絵が
流行りましたけど、それをやめてしまった。
日本はそこから洋画を入れてしまって、
浮世絵的な伝統的な絵の文化が進まなく
なってしまったと思います。」

小黒「でも、僕はそうした日本の浮世絵の
系譜って漫画文化で花開いてると思うんですが。」

高野「それは僕も思います。
日本の漫画は海外ですごい人気がありますしね。
ただ、これもまた差別があって、美術に関して
一部のパトロンがいるんです。
浮世絵とかは買っても、漫画を買おうという
意識はまだないんですよね。」

最後に、高野さんから見て美術館賞を楽しめる
都内の美術館について伺いました。。。

高野「展覧会にもよりますが、上野の博物館や
国立美術館はいつ行ってもいいなと思ってます。
やっぱり一番は上野の西洋美術館ですね。
僕も昔から行ってるので愛着があるのと、
所蔵が古いので古い額装がある。
それを見るといいなって思っちゃいますね。」

https://www.facebook.com/gakusouka/
高野さんのFacebookでは作品もご覧いただくことができます。

今夜の選曲…Another Go Around/Beach House

staff| 21:00 | カテゴリー:ゲストトーク


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