2025年09月05日
おたふく野郎
『あ、すみません、
これから4人・・・って行けたりしますでしょうか?
あ、はい、、そうですね
えっとそうですね・・・
じゅ~く時くらいには、伺えると思うんですが、
はい、あ、はいそうです、あ、はい一度お願いします。
はい!あ、そうですか!
あ、じゃあ4名で19時からお願いします。
はい、えっと、常田 と申します。』
火曜SPARKです。
常田の社会人としての顔が垣間見えた今週。
人としてより好きになった火曜日。
先日、札幌に行った時の話。
3年くらい前に入った、小洒落たバルがあったんですが
席はカウンター5人、テーブル2つと
そこまで大きくない店内
カウンター奥に案内される私。
右隣はガラス越しに調理場が見え
60代くらいのベテランのシェフが料理を黙々と作り
カウンターには、40代くらいのスタッフが
目の前のお客さんに饒舌にワインを説明している。
そして
ついさっきまで、
野球部か柔道部にいましたと言わんばかりの、
ほんの少し伸びた坊主頭に大柄な身体に
大きな声で一生懸命接客する若い彼がいました。
まあ飲食店というのはそういうものなのか・・・
私もそのような経験がありますが
その若い彼に対する、
スタッフのあたりが強い強い。
『何卓様 〇〇お願いします!』
「おいなんでこれすぐセットしないんだよ」
私を挟み
半ばパワハラみたいなラリーが
カウンターと通路で行われていました。
さながらウィンブルドンばりに
そのラリーに耳だけを行き来させていました。
ここまで至近距離で展開されるものだから
逆に気持ちがいいな、
なんて思ったかどうかは忘れましたが
その日は、軽めに食事を済ませ、店をあとにしました。
店を出る時には
その真ん丸な彼に
『ありがとうございました!』
と満面の笑みでお見送りされたものだから
この子は、これからどうするのか
少し気になっていました。
あれから、3年。
私は記憶を頼りに、あの店に入りました。
3年前と同じカウンター奥に案内される私。
右隣はガラス越しに調理場が見え
60代くらいのベテランのシェフが料理を黙々と作り
カウンターには、40代くらいのスタッフが
目の前のお客さんに饒舌にワインを説明している。
そして
髪がだいぶ長くなり、
でも、変わらない大柄な身体で一生懸命接客する彼が
そこにいました。
そして、案の定
『〇〇をお願いします!』
「...。」
「なんで〇〇を先にやらないんだよ!」
『あ・・・すみません。』
3年前と同じ光景でした。
ちょっとばかし
彼に反抗的な態度もあった気もしたのですが
基本スタイルは変わらずで
彼は相変わらずボコボコにされていました。
それでも
この店でまだやっているということに
ちょっとした高揚感を覚えた私。
そこまでしてこの店にいるということは何故なのか?
どうしてもこの店で料理を学びたいのか?
親父さんの料理にほれ込んだのか
はたまた家族経営なのか?
それとも一旦入った手前、やめないタフな精神の持ち主なのか。
帰り際は3年前同様
彼がお見送りしてくれました。
『雨、結構強くなってきましたね。
これ左をすぐ行けば地下通路なので
あんまり濡れないで行けると思いますよ!』
3年前と変わらない優しい彼の笑顔に
私は、ご馳走様でした。また伺います。と言い
店をあとにしました。
また札幌に行くのが楽しみです。